2026SS Collection Story -China
洋服づくりは、情熱の源泉
何年もの間、洋服づくりは文字通り寝食を忘れて没頭できるものでした。好きな生地で、好きな形で、ときめく色で——まず自分のために作ることが、全ての始まりでした。
上海、そして広州へ
2025年夏、20代の頃に叶えられなかった留学の夢を実現するため、中国・上海へ1か月の語学留学。魂が満たされるような時間の中、上海の生地市場で、友人のために「風のワンピース」の原型となるTシャツワンピースを13着縫製してもらいました。
その時、「在庫がないものは、広州から取り寄せる」という市場の店主の言葉から、広州に巨大な生地市場があることを初めて知ったのでした。
2026年4月、コネも経験もないまま、ただ「たくさんの生地が見たい」という気持ちだけを胸に、単身広州へ。通訳さんと市場を歩き回り、素晴らしい生地たちと出会いました。
風のワンピース 雅・涼の上質なカットソー生地、羽衣ジャケットの綿×ナイロン混紡、艶ボレロの麻100%ニット、草原のTシャツのウール生地——すべて、広州の市場で見つけたものです。
「無理だ」と言われた中国縫製への挑戦
これだけの生地と出会ってしまったら、作りたくなる。でも、中国の縫製工場は大量ロットが前提。立ち上げたばかりの極小ブランドが依頼することは、誰に聞いても、広州在住の通訳さんからも「無理だ」と言われました。
それでもどうしても諦められない。どうしても中国で縫製をしてもらいたい。「これだけの生地がある土地なのだから、縫ってくださる人は絶対にいるはず」——そう信じて、生地屋さんに縫製先を聞いて回るという作戦に。なぜなら、生地屋の店頭に飾られたマネキンの服は、必ず誰かが縫っているからです。
そしてとある生地屋さんで、巨大な布市場の裏通りにある「縫製村」を教えてもらいました。広州生まれの通訳さんでさえ行ったことのない場所を、二人で一軒一軒訪ね歩き、数十枚の量産に応じてくれるサンプル屋さんを見つけました。
共創造という、特別な経験
こうして、広州で出会った生地が洋服として生まれ変わりました。しかし、品質の安定には苦労しました。何度も差し戻し、要求を伝え、検品を重ねて日本へ。
毎日のように縫製工房に通い、パソコン画面を見ながら現地のパタンナーさんと一緒にパターンを作った日々は、今となっては大切な思い出です。全く別の世界に生きていた者同士が、洋服を通じてコミュニケーションをとり、共に創り上げた——それは、かけがえのない経験でした。
洋服には、物語がある
洋服は多くの人の手を経て、着る方の手に渡ります。
その物語を、少しでも感じていただければ幸いです。
これからもHANNAの冒険は続きます。
Noriko Tsutagawa — HANNA Designer